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2016/04/30 | 僕の然るべき存在

 

牡丹華さく(ぼたんはなさく)


4/30〜5/4頃。


百花の王、牡丹が豪華な花を咲かせる。


繚乱という言葉もふさわしい。


花を散らした桜の木には青々とした若葉が生い茂り、


みずみずしい葉桜は緑色を深めている。

 



そろそろ穏やかな春も終わり


日差しは夏を伝えてくる今日この頃。

 



この時期、緑摘み(みどりつみ)というものがあるが、


草木の若葉を摘むかと思ったらそうでもない。


松の新芽を一つ一つ丁寧に摘むことを言う。


春から夏にかけてグイっと天に向かって


そびえ立っている芽を摘みとる。


この松の芽を徒長してしまう若いうちに取って樹形を保ち


松のカタチを楽しむ。


昔からこの日本ではお庭には、

 

姿形が整えられた松が愛されていた。


愛されていたと過去形になっているが今日では


お庭に植えることが滅法減ってしまった。


日本人の好みの傾向が変わってしまったのか。


だがしかし僕は毎年、松のお手入れで松を触っている。


もっと言えば毎日のように観ている。


なぜなら巨木な松を借景(しゃっけい)にしているからだ。


お寺に隣接した我が社からはいつもお天道様と一緒に


松に見守られている。そして僕らはそれらを見上げる。


お寺の本堂と茶室に囲われた箱庭の中に


その松はしっかりと腰を据えて勇ましくそびえ立っている。


幹の太さというと、


大人が両手を回して手と手を繋げれるかどうかにもなっている。


樹高は、10Mを優に超えている。


横に伸びた枝だけでも非常に太く、


人が乗っても折れないぐらいの太さになっている。


樹齢400年にもなるという、このお寺の五葉松(ゴヨウマツ)。

 



今から四年前の話になるが、


この五葉松で大変なことが起こった。


今でも鮮明に憶えている。


当時、お寺のお庭全体のお手入れを町の造園屋さんがやっていた。


しかし、ある日その造園屋さんがおくり様に


「もう、体がエラいでよ〜もうご無礼させてもらうよ。」


と電話でお寺のお庭のメンテナンスの仕事を辞められた。


それもそうだ、結構なご老体の上


五葉松の剪定時には、木によじ登って高所作業をしていた。


地面から上を見上げるだけじゃわかり難いが


登った枝からの景色は最高だ、いや最高に恐怖を伴う。


安定のない足場(枝)を頼りに、神経を集中させる。


落ちたら大惨事に至る可能性が高い。


ふー、やれやれ。


長い年月お疲れ様でした。


と心より敬服できる。


が、お寺のおくり様は困った。


なぜならお寺のお庭のお手入れが出来る者がいなくなってしまったからだ。


長年、熟知した知識と経験と按配をもった者が


面倒をみることでお寺のお庭が守り続けられてきた。


そりゃこの先不安だ。


しかし、おくり様はお寺を守るために次の手段にでた。


そう、


我が社の門を叩きに来てくれたのだ。


事情を聞かされた僕は、驚きながら


不安を募らせる気持ちとは裏腹に


おくり様の申し出を引き受けた。


何の手順もわからずまま引き受けたのは


困っているおくり様をみて「何とかしなくては」の一心だった。


早速、付き合いのある庭師の植木屋さんや造園屋さんに


声をかけて見に来てもらった。


しかし、どの者も首を横に傾げる。


そして自信がないからと言い、


引き受けてくれる者は出てこなかった。


うーむ、これは困った。


一般家庭の庭木のお手入れと訳が違う。


確かに、脚立に登って出来る範囲なら心配ないが


10Mも上に登って作業するのだから命乞いするだろう。


と、そうこう言っている間に


五葉松にある変化が起きているのに気付いた。


普段、人の目線の高さでは目に入ってこない高さで


見上げてようやく五葉松の全貌が確認できる。


何やら葉の量が減って見える……。


これはおかしい、、、


気になった僕は足早に五葉松の側まで走っていった。


そして逆光で見難い枝と葉を凝視した。


そこで見たものに僕は疑いを隠せれなかった。


見たこともない程の光景だったからだ。


そこには無数に蔓延るケムシの大群。


そこらじゅうに我が物顔で五葉松を占有したマツクイムシのケムシ。


ケムシの大きさはというと、ヒトの人差し指ほどで


黒とオレンジ色で身体を飾っている。


これを見た僕は身震いがした。


「ど、どうしようこの大群……。」


と上を見渡せば、ケムシたちがムシャムシャと


針のような松の葉を食べている。


う、うぅ……。


ふと、目に入ってきたのが建物の壁を


縦横無尽に歩き渡っているケムシ。


こ、こんな所まで。。。


これはマズい、緊急事態だ。


一刻も早く消毒してケムシを退治せねば。


ところが、僕が所有している噴霧器は


家庭用の手で加圧する小さなもの。


これでは10Mの遥か上まで到底届かない。


じゃあ、エンジンのついた動噴機で勢いよく噴射することが


望ましいと思い、植木屋さんに連絡。


が、植木屋さんの段取りがついたのがその3日後。


その間にもケムシ達は着々と蝕んでいった。


一方、葉っぱのほぼなくなった見窄らしい姿を見て


「私の代で枯らしてまうぅ〜」とおくり様。


葉がないと光合成ができなくなると


段々と焦りと絶望感が肥大していく僕。


そんな弱気な気持ちに追い打ちをかけるかのように


近所のおばあさんから


「おみゃあさんが面倒みるのかね、ほうー。」


と若僧にできっこないだろうと揶揄されたようにも聞こえた。


く、悔しい。。。


「おじいちゃん、どうしよう。。」


400歳にもなる歴史ある五葉松、これで枯れてしまったら


この町にも住めなくなる。


そんな不安な気持ちを抱きながら


遅かれ消毒が完了。凄まじいほどの量のケムシが


天から降ってくる。


ポタポタ、ポタッと。


次の日も、その次の日も。


僕は我武者羅にケムシを火挟で拾い集めた。


いつしかバケツはケムシでいっぱい。


巨木なだけあって、それに似合った量だった。


問題はこれから復活してくれるかだ。


僕は、すぐさま今できる最良の手段にでた。


当時、環境の仕事で得た知識を元に


松の活力になるだろうと樹幹注入や


土壌に鉄イオンや微生物の資材を施用した。


僕の中で最善を尽くした。


そして、翌年の春には優しく芽吹いてきた。


嬉しかった、樹木でこんなにも芽吹くことで


嬉しい思いをしたのは初めてだった。


同時に、自分に戒めることも決意した。


今回の盲点は、消毒のタイミングが遅れたこと。


今では、5月、7月、9月の3回消毒を施用している。


そして現在、しっかりと年間メンテナンスをしており


お陰様で五葉松は青々とした葉を取り戻して


僕らを見守ってくれてる。


この日より僕の中の空には、お天道様と五葉松様とセットになった日。


と同時に自分の中に強い使命感が芽生えた日でもある。


お寺のシンボルツリーであり、我が社のシンボルツリー。


やはり借景には然るべき存在だ。


400年もの時を経て、いろいろなことを見てきた。


これからも


「おお、やっとるなぁ〜!」と見てもらいたい。


そして、


この歴史ある偉大な五葉松に見守り続けてもらうために、


僕は今日も敬意を払う!

 

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